
「ニュースでサイバー攻撃の話は聞くけれど、うちのような規模の会社は狙われないだろう」。そんなふうに感じている経営者の方は、まだ多いのではないでしょうか。
ところが2026年に入り、その認識を見直さざるを得ないニュースが続いています。警察庁は2026年上半期のランサムウェア被害を123件と公表し、統計開始以来、半期として過去最多となりました。さらに10月には、PHPに極めて深刻な脆弱性が見つかり、JPCERT/CCも注意喚起を出しています。
こうした動きは、自社の守りだけでなく、お客様への提案にも深く関わってきます。この記事では、最近の社会情勢を整理したうえで、企業が備えるべきポイントと、販売パートナーとしての提案の視点を解説します。
<目次>
- ランサムウェア被害が半期で過去最多に。警察庁が示した2026年上半期の現実
- PHPの重大脆弱性「PHP2Shell」とは?ファイアウォールまで狙われた理由
- なぜ中小企業が狙われるのか?VPN機器・取引先・「ニセ社長詐欺」の共通点
- 今すぐ確認したい社内チェックリスト
- 企業の守りを固める商材とは?目的別の整理
- 提案するときの注意点:不安をあおらず、現状把握から始める
- まとめ:セキュリティは「守り」であり、信頼を生む「提案」でもある
ランサムウェア被害が半期で過去最多に。警察庁が示した2026年上半期の現実
警察庁が公表した「令和8年上半期」のサイバー脅威情勢では、次のような点が報告されています。
- ランサムウェアの被害報告は123件で、半期として過去最多
- 被害に遭った組織のうち、中小企業が約6割
- 業種別では製造業が約3割で最多。卸売・小売業、情報通信業などが続く
- 侵入経路は、アンケートで約5割がVPN機器
- 復旧費用は、有効回答のうち1,000万円以上が6割
- 復旧に1カ月以上かかったケースも半数以上
数字から見えてくるのは、被害が「一部の大企業」にとどまらず、中小企業にも広く及んでいるということです。しかも、復旧には費用も時間もかかります。業務が止まれば、売上だけでなく取引先からの信頼にも影響しかねません。
また、脆弱性を探すような不審なアクセスも前年同期比で約50%増えたと報告されています。インターネットにつながる機器は、常に「探られている」前提で考える必要がありそうです。
PHPの重大脆弱性「PHP2Shell」とは?ファイアウォールまで狙われた理由
こうした状況の中で起きたのが、PHPの脆弱性です。2026年10月21日(米国時間)にThe PHP Groupがアドバイザリを公表し、JPCERT/CCは翌22日に注意喚起を出しました。対象はCVE-2026-109618とCVE-2026-109619の2件で、悪用されると第三者に任意のコードを実行される恐れがあります。
影響を受けるのは、PHP 8.5.12・8.4.27・8.3.36・8.2.35より前のバージョンです。すでにサポートが終了しているPHP 7.4、8.0、8.1についても、異例の措置として最小限の修正が提供されたと報じられています。
特に注目されたのが、その後の続報です。イスラエルのセキュリティ企業Dreamの調査(10月26日公表)によると、攻撃者は公開されているファイアウォール約1万9,000台を探索し、約240台を標的に選定。日本を含む4カ国で計25台の侵害が確認されたとされています。PHPの脆弱性とLinuxカーネルの脆弱性を組み合わせ、認証なしで管理者権限を取得した、との報告です。
JPCERT/CCは10月29日に注意喚起を更新し、PHPを組み込んだ製品を狙う攻撃が今後も続く可能性があるとして警戒を呼びかけています。
つまり、「自社でPHPのプログラムを作っていないから大丈夫」とは言い切れません。導入している機器やサービスの中に、PHPが入っている可能性があるのです。
なぜ中小企業が狙われるのか?VPN機器・取引先・「ニセ社長詐欺」の共通点
警察庁の報告でも、PHPの件でも、共通しているのは「入口になりやすい場所」から入られている点です。VPN機器やファイアウォールといったネットワーク機器は、外部とつながる出入口だからこそ狙われます。
また、攻撃者にとって中小企業は、次のような魅力があると考えられます。
- セキュリティ担当者が少なく、更新や監視が後回しになりやすい
- 大企業の取引先として、サプライチェーンの入口になり得る
- 被害に遭うと業務が止まるため、対応を急がされやすい
さらに、ネットを使った詐欺の手口も増えています。警察庁によると、いわゆる「ニセ社長詐欺」は上半期に127件、被害額は約38億8,000万円にのぼりました。システムへの侵入だけでなく、人をだます攻撃にも備えが必要です。
今すぐ確認したい社内チェックリスト
では、経営者としてまず何を確認すればよいのでしょうか。専門的な作業は担当者や制作会社に任せるとしても、次の項目は「確認したか」を問うだけでも大きな一歩です。
- PHPやCMSの更新:自社サイトのPHPバージョンと、WordPressなどの更新状況は最新か。
- 公開されている機器の洗い出し:ファイアウォール、VPN、ルーターなどの管理画面がインターネットから見えていないか。
- ベンダー情報の確認:導入製品の提供元が出すセキュリティ情報を見ているか。
- バックアップ:万一の際に戻せる状態か。バックアップ自体が同じネットワーク上で狙われない構成か。
- 社内ルール:送金依頼や緊急連絡を、メールだけで完結させない運用になっているか。
更新作業は、十分なテストを行ったうえで、できるだけ速やかに実施することが大切です。最新の状況は、PHP公式サイトやJPCERT/CCなどの一次情報で必ずご確認ください。
企業の守りを固める商材とは?目的別の整理
守りを固めるといっても、目的によって必要な対策は異なります。代理店ドットコムに掲載されているセキュリティ関連の商材を、目的別に整理してみましょう。
- ネットワークの出入口を守りたい:UTM(ハイブリッドセキュリティUTM)など
- パソコンやスマートフォンを守りたい:法人端末セキュリティサービス SmartGate、セキュリティサービス BitoB Protectなど
- 万一に備えてデータを守りたい:バックアップサービス BitoB Backup、国産クラウドサービス BitoB Cloudなど
- 最新の脅威に幅広く備えたい:次世代サイバーセキュリティソリューション
- 人の意識や知識を高めたい:助成金活用セキュリティ研修
- 廃棄・入替時の情報漏洩を防ぎたい:パソコンデータ消去サービス
セキュリティ対策は、一度導入すると継続的に利用されやすく、月額などのストック型の収益につながりやすい分野です。既存のお客様への追加提案としても、相性のよいテーマではないでしょうか。
提案するときの注意点:不安をあおらず、現状把握から始める
ニュースで不安が高まっているときほど、提案の仕方には気をつけたいところです。
- 不安をあおりすぎない:「すぐ被害に遭う」といった断定は避け、公的機関の発表など事実をもとに話す。
- まずは現状把握から:いきなり商品を勧めるのではなく、どんな機器・システムを使っているかをヒアリングする。
- 「必ず防げる」とは言わない:どんな対策にも限界があります。複数の対策を組み合わせる考え方を伝える。
- 補助金・助成金の活用も確認:商材によっては、制度を使える場合があります。条件や時期は必ず最新情報を確認する。
お客様にとって本当に必要な対策を一緒に考える姿勢が、結果として長いお付き合いにつながります。
まとめ:セキュリティは「守り」であり、信頼を生む「提案」でもある
今回のポイントを整理します。
- 2026年上半期のランサムウェア被害は、警察庁の統計で半期過去最多。中小企業も約6割を占める
- PHPの重大な脆弱性(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)は、ファイアウォールなどの機器にも影響が及ぶ可能性がある
- まずは自社のPHP・CMS・機器の更新状況とバックアップ体制を確認する
- セキュリティは、お客様の不安に寄り添える提案テーマであり、ストック収益にもつながりやすい
社会情勢が大きく動いている今は、自社の守りを見直す絶好のタイミングです。同時に、お客様の課題を解決する新しい提案の柱を検討する機会でもあります。ぜひ一度、セキュリティ分野の商材をご覧ください。
