
毎年9月1日の「防災の日」が近づくと、防災に関する話題を目にする機会が一気に増えます。自社の備えを見直す企業も多く、この時期は法人向けの防災関連サービスに問い合わせが集まりやすいタイミングでもあります。
一方で、営業の現場では「新しく提案できる商材がほしい」「既存顧客に次の一手を出せていない」という悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。取引先とのつながりはあるのに、提案するネタが尽きてしまっている。そんな状態はもったいないかもしれません。
そこで注目したいのが、法人向けの防災商材です。企業の防災対策は「やらなければいけないと分かっているが後回しになっている」典型的なテーマであり、きっかけさえあれば動く企業が少なくありません。この記事では、防災商材の種類から代理店として取り扱うメリット、提案先の広げ方までを整理して解説します。
<目次>
- 防災商材とは?法人向けに広がる防災・BCP関連サービスの全体像
- 法人向け防災商材の需要が高まっている3つの背景
- 代理店が取り扱える防災商材の主な種類
- 防災商材を取り扱う4つのメリット
- 知っておきたいデメリット・注意点
- 防災商材の提案先とアプローチのしかた
- 失敗しない防災商材の選び方チェックポイント
- まとめ|「備え」の提案は、関係を深める入口になる
防災商材とは?法人向けに広がる防災・BCP関連サービスの全体像
防災商材とは、地震・台風・豪雨・停電といった災害に備えるための製品やサービスの総称です。個人向けの防災グッズをイメージされる方も多いかもしれませんが、代理店ビジネスで扱いやすいのは法人向けの領域です。
法人向けの防災商材は、大きく「モノ」と「仕組み」に分けて考えると整理しやすくなります。備蓄品や防災用品といった目に見える製品が「モノ」、安否確認システムやBCP策定支援などが「仕組み」にあたります。
近年とくに伸びているのが後者の「仕組み」側です。単に備蓄を置くだけでは、いざというときに従業員の安全確保や事業の継続にはつながりません。「災害が起きたあと、事業をどう続けるか」という視点で提案できる商材が求められています。
法人向け防災商材の需要が高まっている3つの背景
なぜ今、企業の防災ニーズが高まっているのでしょうか。主な背景は次の3つです。
- 災害の頻発・激甚化:地震だけでなく、線状降水帯による豪雨や大型台風、猛暑による停電リスクなど、備えるべき事象が増えています
- 取引先からの要請:サプライチェーン全体でのリスク管理が重視され、取引条件としてBCPの有無を確認されるケースが増えています
- 働き方の変化:拠点分散やテレワークの普及により、従業員の所在把握や連絡手段の整備が課題になっています
特に2つ目の「取引先からの要請」は見逃せないポイントです。自発的に防災対策を進める企業だけでなく、外部から求められて動かざるを得ない企業が増えているということは、提案のきっかけが向こうから生まれているとも言えます。
代理店が取り扱える防災商材の主な種類
ひとくちに防災商材といっても、その中身はさまざまです。代表的なものを挙げてみます。
- 安否確認システム:災害発生時に従業員へ一斉配信し、安否と出社可否を集計するクラウドサービス
- 備蓄品・防災用品:長期保存食、飲料水、簡易トイレ、毛布、ヘルメットなど。入替え管理までセットにしたサービス型も増えています
- BCP策定・コンサルティング:事業継続計画の作成支援や、訓練・見直しの伴走支援
- 非常用電源・蓄電池:停電時に最低限の業務や通信を維持するための電源設備
- 防災eラーニング・研修:従業員向けの教育コンテンツや避難訓練の企画支援
- データバックアップ・クラウド移行:物理的な被災に備えた情報資産の保全
このうち、安否確認システムやBCPコンサル、データバックアップなどは月額課金のストック型になりやすく、継続収益を積み上げたい方と相性が良い領域です。一方、備蓄品や非常用電源は単価が大きく、一件あたりの成果が見えやすいという特徴があります。
防災商材を取り扱う4つのメリット
防災商材を新しい取扱商材として検討する価値は、どこにあるのでしょうか。
1.業種を問わず提案できる
災害リスクはあらゆる企業に共通します。業種で提案先を絞り込む必要がなく、既存の顧客リストをそのまま活かせるのは大きな強みです。
2.既存顧客への「次の提案」になりやすい
すでに何かを納入している取引先に対して、まったく別の切り口で会話を始められます。競合とバッティングしにくく、関係を深めるきっかけとしても機能します。
3.継続契約につながりやすい
備蓄品には消費期限があり、システムは運用が続きます。一度導入されれば、更新や追加の相談が自然に発生する構造になっています。
4.社会的意義を語れる
「従業員の命を守る」「事業を止めない」という提案は、値引き競争になりにくく、担当者にも共感されやすいテーマです。営業として気持ちよく提案できる商材でもあります。
知っておきたいデメリット・注意点
もちろん、良いことばかりではありません。取り扱う前に押さえておきたい点もあります。
- 優先順位が下がりやすい:緊急性が低いと判断されると「来期に検討」となりがちです
- 予算が付いていないことがある:明確な予算枠がない場合、社内稟議に時間がかかります
- 専門知識がある程度必要:BCPや防災の基礎的な考え方を理解していないと、踏み込んだ会話ができません
- 季節変動がある:防災の日や年度末に問い合わせが集中し、時期によって波が出やすい傾向があります
とくに1つ目の「後回しにされやすい」という点は、防災商材の最大の壁かもしれません。だからこそ、「なぜ今なのか」を提示できるかどうかが成果を分けます。防災の日、年度の予算編成期、近隣で災害が発生した直後など、タイミングを意識した提案が有効です。
防災商材の提案先とアプローチのしかた
提案先として動きやすいのは、次のような企業です。
- 従業員数が数十名以上の企業:安否確認の手段が電話・メールのままというケースが多く、課題が明確です
- 複数拠点を持つ企業:拠点間の情報集約に困っており、仕組み化のニーズが高い傾向にあります
- 大手企業と取引のある中小企業:取引先からBCPの整備を求められている可能性があります
- 介護・医療・保育などの施設:業務の性質上、災害時の対応計画が求められる領域です
アプローチのコツは、いきなり商品説明から入らないことです。「災害が起きたとき、従業員の方の安否はどうやって確認する想定ですか?」といった質問から始めると、相手も自社の状況を思い浮かべながら答えてくれます。そこで出てきた「実はできていない」という言葉こそが、提案の入口になります。
また、既存顧客への挨拶や定期訪問の際に、話題のひとつとして自然に触れておくのも効果的です。その場ですぐ決まらなくても、記憶に残っていれば、社内で防災の話題が出たときに声がかかります。
失敗しない防災商材の選び方チェックポイント
実際に取り扱う商材を選ぶときは、以下の点を確認しておくと安心です。
- 導入実績と事例が公開されているか:同業種の事例があると提案の説得力が変わります
- 提案資料やトークスクリプトが用意されているか:専門性が求められる商材だけに、本部の支援体制は重要です
- 報酬がストック型か一時金型か:自社の収益モデルに合っているかを確認しましょう
- 初期費用・ノルマの有無:まずは小さく始められる条件かどうかを見ておきたいところです
- 導入後のサポートを本部が担うか:運用支援まで代理店が負う場合、工数の見積もりが必要です
- 訓練・研修などの付帯サービスがあるか:導入後の接点が増え、次の提案につながります
とくに「導入後のサポート範囲」は事前に必ず確認しておきたいポイントです。防災商材は導入して終わりではなく、備蓄の入替えや訓練の実施といった継続的な運用が伴います。どこまでを本部が担い、どこからが自社の役割なのかを曖昧にしたまま契約すると、後から想定以上の手間がかかることがあります。
まとめ|「備え」の提案は、関係を深める入口になる
防災商材は、業種を問わず提案でき、既存顧客との会話を再び動かしてくれる商材です。今回のポイントを整理します。
- 法人向け防災商材は「モノ」と「仕組み」に分かれ、近年は仕組み側のニーズが拡大している
- 災害の激甚化、取引先からの要請、働き方の変化が需要を後押ししている
- 安否確認システムやBCP支援はストック型になりやすく、継続収益を狙える
- 後回しにされやすい商材のため、「なぜ今なのか」を語れるタイミング設計が重要
- 選ぶ際は、報酬体系・支援体制・導入後のサポート範囲を必ず確認する
「新しい売上の柱がほしい」「既存顧客に次の提案ができていない」と感じているなら、防災という切り口は検討する価値があるかもしれません。9月1日の防災の日を控えたこの時期は、企業側の関心が自然と高まるタイミングでもあります。
自社の営業スタイルや顧客層に合う防災商材があるかどうか、まずは条件を比較してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
