
毎週決まった時間に営業会議を開いているけれど、終わったあとに「で、結局何が決まったんだっけ?」となってしまう。そんな経験はないでしょうか。
営業メンバーが順番に数字を読み上げ、上長が「もう少し頑張ろう」とコメントして終わる。時間だけが過ぎて、参加者の気持ちは少し重くなる。多くの会社で、営業会議はこの「報告会」の形に落ち着いてしまいがちです。
ただ、営業会議は本来、止まっている案件を動かし、次の一手を決めるための場です。進め方を少し変えるだけで、同じ1時間がまったく違う成果を生みます。この記事では、報告会で終わらせないための具体的な6ステップと、複数の商材を扱っている会社ならではの会議の回し方までを、実務に沿って解説します。
<目次>
- 営業会議の進め方は?成果につながる会議の全体像を先に押さえる
- なぜ営業会議は「報告会」になってしまうのか
- ステップ1:会議のゴールを「決めること」に絞る
- ステップ2:数字とアジェンダは会議前に共有しておく
- ステップ3:進捗は人単位ではなく「案件単位」で見る
- ステップ4:詰めるのではなく、詰まりを聞き出す
- ステップ5:決定事項を担当・期限つきで残す
- ステップ6:次回の冒頭で前回のアクションを確認する
- 複数の商材を扱う会社の営業会議の回し方
- 営業会議でやってはいけない3つのこと
- まとめ:会議を変えると、営業の動き方が変わる
営業会議の進め方は?成果につながる会議の全体像を先に押さえる
細かいテクニックに入る前に、成果につながる営業会議がどんな形をしているのか、全体像を押さえておきましょう。
うまく回っている営業会議は、ほぼ例外なく次の流れになっています。
- 事前:数字とアジェンダを共有し、参加者は目を通した状態で集まる
- 冒頭:前回決めたアクションがどうなったかを確認する
- 中盤:止まっている案件・大きい案件に絞って、打ち手を議論する
- 終盤:誰が・いつまでに・何をするかを決めて書き残す
ポイントは、会議の時間を「情報の共有」ではなく「判断」に使っていることです。数字の報告は事前に済ませ、集まった時間は「どうするか」を決めることだけに充てる。この設計にできているかどうかで、会議の価値は大きく変わります。
以降のステップは、この全体像を自社に落とし込むための具体的な手順です。
なぜ営業会議は「報告会」になってしまうのか
報告会化には、はっきりした原因があります。
ひとつは、会議の目的が決まっていないこと。「とりあえず週に1回集まる」が先にあると、その場で話すことは自然と「先週何をしたか」になります。過去の話は事実の確認で終わるため、議論が生まれません。
もうひとつは、数字を会議の場で初めて見ていること。参加者が資料を読む時間、上長が状況を把握する時間に大半が使われ、肝心の打ち手を考える時間が残りません。
そして三つ目が、会議で決めたことが次につながっていないこと。せっかく「来週までに再提案しよう」と決めても、次の会議で誰も触れなければ、決定事項はただの掛け声になります。
裏を返せば、この3つを潰すだけで会議は見違えます。次のステップから順に見ていきましょう。
ステップ1:会議のゴールを「決めること」に絞る
最初にやるべきは、その会議で何を決めるのかを一つに絞ることです。
たとえば「今月着地に向けて、動かす案件を3件選ぶ」「新しく扱い始めた商材の提案先を各自3社出す」といった具合に、会議が終わった時点で手元に残るものを先に決めておきます。
ゴールが決まると、アジェンダも自然と定まります。逆にゴールがないまま集まると、話題は広がるのに何も決まらないという典型的なパターンに入ってしまいます。
また、会議の種類を分けるのも有効です。
- 週次:目の前の案件を動かす(短く、30分程度)
- 月次:数字の振り返りと翌月の方針を決める
- 四半期:取扱商材の見直しや新しい販路の検討
すべてを1回の会議に詰め込もうとすると、どれも中途半端になります。時間軸で役割を分けておくと、それぞれの議論が深くなります。
ステップ2:数字とアジェンダは会議前に共有しておく
会議の生産性は、開始前にほぼ決まっていると言っても言い過ぎではありません。
遅くとも会議の前日までに、次のものを共有しておきましょう。
- 今月の予算に対する進捗(全体・メンバー別)
- 動いている案件の一覧(金額・確度・次のアクション)
- 当日話し合いたい議題と、その持ち主
ここで大事なのは、「読んでおいてください」で終わらせないことです。共有した資料に「この3件について、当日みなさんの意見を聞きたいです」と一言添えるだけで、参加者は考えた状態で会議に来てくれます。
形式は凝らなくて構いません。スプレッドシート1枚でも、チャットへの箇条書きでも十分です。大切なのは、会議の場で資料を読む時間をゼロにすることです。
ステップ3:進捗は人単位ではなく「案件単位」で見る
報告会になりやすい会議の多くは、メンバーが一人ずつ順番に話す形式をとっています。この形式だと、どうしても「今週の活動報告」になってしまいます。
おすすめは、案件単位で並べ替えて、議論すべきものだけを取り上げるやり方です。具体的には、次のような案件を優先して扱います。
- 金額が大きく、着地への影響が大きい案件
- 2週間以上ステータスが動いていない案件
- 次のアクションが決まっていない案件
- 逆に、うまくいった案件(横展開できる学びがある)
順調に進んでいて次の予定も決まっている案件は、会議で触れる必要はありません。限られた時間は、詰まっているところに使います。
この形にすると、担当者は「自分の番だから話す」のではなく「この案件をどう動かすか相談する」という姿勢に変わっていきます。
ステップ4:詰めるのではなく、詰まりを聞き出す
止まっている案件を取り上げるとき、進め方を間違えると会議は途端に息苦しくなります。
「なぜ進んでいないの?」という問いは、担当者にとっては責められているように聞こえます。すると、次回から都合の悪い案件は報告に上がってこなくなり、問題が見えなくなっていきます。
聞き方を少し変えるだけで、出てくる情報の質は変わります。
- 「先方が最後に気にしていたのは何でしたか?」
- 「今、決裁者まで話は届いていますか?」
- 「動かすとしたら、誰の協力があれば一番早そうですか?」
- 「この案件、正直これ以上追う価値はありそうですか?」
最後の問いは特に大切です。追わない判断も、立派な会議の成果です。見込みの薄い案件を抱え続けるより、早く切り替えたほうが全体の数字は伸びます。
ステップ5:決定事項を担当・期限つきで残す
議論が盛り上がっても、記録がなければ会議はなかったことと同じになります。
会議の終盤で、次の3点をセットにして書き残してください。
- 何をするのか(できるだけ具体的に)
- 誰がやるのか(「みんなで」は担当者なしと同じ)
- いつまでにやるのか(日付で書く)
「A社に再提案する」ではなく「A社に、導入後の運用体制を追記した提案書を、今週金曜までに山田がメール送付する」まで書く。ここまで具体化すると、翌日から動けます。
記録は、その場で画面共有しながら書くのが一番確実です。会議が終わった時点で全員が同じものを見ている状態をつくれば、あとから認識がずれることもありません。
ステップ6:次回の冒頭で前回のアクションを確認する
ここまでの5ステップを支えるのが、この最後の仕組みです。
次回の会議の冒頭2〜3分を使って、前回決めたアクションが実行されたかどうかだけを確認します。できたものには印をつけ、できなかったものは理由を短く聞いて、やるか・やめるかを決め直します。
この習慣があると、会議で決めたことは必ず確認されるという共通認識が生まれます。すると、決定事項の実行率が目に見えて上がっていきます。
逆に言えば、この確認をしない限り、どれだけ良い議論をしても会議は形骸化していきます。地味な手順ですが、効果は最も大きい部分です。
複数の商材を扱う会社の営業会議の回し方
取扱商材が増えてくると、営業会議の設計はもう一段むずかしくなります。すべての商材を毎回同じ深さで扱おうとすると、時間が足りません。
このときに有効なのが、商材を役割で分けて、会議での扱い方を変える考え方です。
- 主力商材:毎回、案件単位で進捗を確認する
- 育成中の商材:月1回、提案件数と反応を振り返る
- 検証中の商材:四半期に1回、続けるかどうかを判断する
新しく取り扱いを始めた商材は、しばらく成果が出ないのが普通です。それを主力商材と同じ物差しで毎週見ていると、現場は「やっぱりこれは売れない」と早々に諦めてしまいます。商材ごとに評価の時間軸を変えることが、新しい柱を育てるうえでは欠かせません。
また、育成中の商材については「受注」ではなく「提案した件数」「先方が食いついたポイント」を確認するようにしましょう。立ち上げ期は、行動量と顧客の反応こそが、次の判断材料になります。
営業会議でやってはいけない3つのこと
最後に、会議を台無しにしやすい進め方を3つ挙げておきます。
1つ目は、個人の責任追及の場にすること。数字が未達のメンバーを全員の前で問い詰めても、案件は1ミリも動きません。個別の指導は1対1の場でやるほうが、本人にも届きます。
2つ目は、長時間化。2時間の会議は、後半のほとんどが集中力を失っています。週次なら30分、月次でも1時間を上限に設計し、収まらないテーマは別の場に切り出しましょう。
3つ目は、上長だけが話すこと。発言の大半が上からの指示になっていると、現場は「聞く場」だと認識します。会議中の発言量が参加者にできるだけ均等に配られているか、一度振り返ってみてください。
まとめ:会議を変えると、営業の動き方が変わる
営業会議の進め方を、あらためて整理します。
- 会議のゴールを「決めること」に絞る
- 数字とアジェンダは事前に共有し、当日は議論だけに使う
- 進捗は人単位ではなく案件単位で、詰まっているものに絞って扱う
- 責めるのではなく、詰まりの原因を聞き出す
- 決定事項は「何を・誰が・いつまでに」で書き残す
- 次回の冒頭で、前回のアクションを必ず確認する
- 複数商材を扱うなら、商材ごとに評価の時間軸を変える
いきなり全部を変える必要はありません。まずは「事前に数字を共有する」と「決定事項を担当・期限つきで残す」の2つだけでも始めてみてください。それだけで、会議後の1週間の動きがはっきり変わるはずです。
そして、会議で「動かす案件が足りない」という話になったら、それは商材の選択肢を増やすタイミングかもしれません。今の営業体制で扱える商材が増えれば、提案の切り口も、会議で議論できる案件も自然と増えていきます。
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