
新しい商材を取り扱うことになったものの、「さて、お客様にどう説明する資料をつくろうか」で手が止まってしまった経験はないでしょうか。
メーカーや本部から渡されたパンフレットをそのまま持っていっても、どうも反応が薄い。かといって一から資料をつくるとなると、何をどの順番で書けばいいのか迷ってしまう。実は、提案書がうまくいかない原因の多くは「文章力」ではなく「構成の順番」にあります。
この記事では、商材を提案する際の提案書を、7つのステップで組み立てていく方法をご紹介します。今日からそのまま手を動かせる形でまとめましたので、ぜひ手元に商材の資料を用意しながら読み進めてみてください。
<目次>
- 提案書の作り方は?まず押さえておきたい全体像と役割
- ステップ1:書き始める前に「相手の課題」を1行で言語化する
- ステップ2:提案書の基本構成を7ブロックで組み立てる
- ステップ3:冒頭の1枚で相手の状況を要約して見せる
- ステップ4:解決策は「機能」ではなく「変化」で書く
- ステップ5:料金と導入までの流れを具体的に示す
- ステップ6:相手の不安を先回りして潰しておく
- ステップ7:次にしてほしい行動を1つに絞る
- 提案書づくりでやりがちな失敗と、その回避のコツ
- 商材が変わっても使い回せる「型」にしておく
- まとめ:提案書は「順番」で決まる
提案書の作り方は?まず押さえておきたい全体像と役割
提案書というと、つい「商材をきれいに説明する資料」と考えてしまいがちです。しかし実際のところ、提案書の役割はもう少し限定的です。お客様の社内で、あなたがいない場面でも意思決定を前に進めてもらうための道具、それが提案書です。
商談の場では、あなたが口頭で補足できます。けれども提案書が本当に働くのは、商談が終わったあとです。担当者が上司に相談するとき、稟議書を書くとき、他社と比較するとき。そのときに手元にあるのは、あなたではなく紙の資料だけなのです。
だからこそ、提案書は次の3つを満たしている必要があります。
- 担当者が読み返したときに、話の流れを思い出せる
- その資料だけを上司に見せても、要点が伝わる
- 「で、次は何をすればいいのか」が明確にわかる
この3つを念頭に置くだけで、資料に入れるべき情報と、削っていい情報の判断がぐっとしやすくなります。ここからは、実際の作成手順を順番に見ていきましょう。
ステップ1:書き始める前に「相手の課題」を1行で言語化する
最初にすべきことは、パソコンを開くことではありません。提案先が抱えている課題を、1行で書き出してみることです。
たとえば「人手が足りない」ではまだ粗すぎます。「新規開拓に人を割きたいが、既存客の対応で手一杯になっている」くらいまで具体化できると、提案書の芯が定まります。
この1行が書けないときは、まだ提案書を書く段階ではないのかもしれません。ヒアリングが足りていないサインですので、いったん資料づくりを止めて、相手にもう一度話を聞きに行くほうが結果的に近道になります。
逆にこの1行さえ決まっていれば、以降のすべてのページは「この課題にどう効くのか」という一本の軸で書けるようになります。
ステップ2:提案書の基本構成を7ブロックで組み立てる
提案書の構成に、決まった正解があるわけではありません。ただ、迷ったときの土台として、次の7ブロックで組んでおくと大きく外しません。
- ①現状の整理:相手が置かれている状況を要約する
- ②課題の明確化:そのままだと何が起きるかを示す
- ③解決の方向性:どういう考え方で解決するかを提示する
- ④具体的な提案内容:商材・サービスの中身を説明する
- ⑤導入効果:導入後にどう変わるかを描く
- ⑥費用と導入の流れ:金額とスケジュールを提示する
- ⑦次のステップ:相手にしてほしい行動を伝える
ページ数の目安としては、各ブロック1〜2枚、全体で10枚前後に収まれば十分です。分厚い資料が信頼を生むわけではありません。むしろ読み切れる分量であること自体が、提案書の品質のひとつだと考えてみてください。
ステップ3:冒頭の1枚で相手の状況を要約して見せる
提案書の1枚目に自社紹介を置いていないでしょうか。気持ちはよくわかるのですが、読み手からすると「まず自分の話をされている」状態になってしまいます。
おすすめは、1枚目に「御社の現状」をまとめることです。ヒアリングで聞いた内容を、そのまま整理して見せるだけで構いません。
この1枚があると、読み手は「ちゃんと聞いてくれていたんだな」と感じます。そしてその安心感は、後半の提案内容を受け入れる下地になります。自社紹介や実績は、資料の後半か巻末に回しても遅くはありません。
ステップ4:解決策は「機能」ではなく「変化」で書く
ここが、提案書の出来を最も左右するポイントかもしれません。
商材の説明をしようとすると、どうしても機能やスペックの列挙になりがちです。しかしお客様が知りたいのは、機能そのものではなく「導入すると、自分たちの日常がどう変わるのか」です。
書き方としては、機能を書いたあとに必ず「つまり、〜になります」と続けてみてください。
- ×:24時間の自動応答機能を搭載しています
- ○:24時間の自動応答機能により、夜間の問い合わせ対応が不要になり、朝の対応件数を減らせます
この「つまり」の一言があるだけで、読み手の頭のなかに具体的な場面が浮かびます。書き終えたあとに、機能の説明部分をひととおり見直して、「つまり」が抜けている箇所を埋めていくとよいでしょう。
ステップ5:料金と導入までの流れを具体的に示す
金額の提示をためらって、資料に書かずに口頭だけで済ませてしまうケースがあります。しかしこれは、社内検討の場面でかえって不利に働きます。担当者が上司に説明できなくなってしまうためです。
費用のページには、次の情報を揃えておきましょう。
- 初期費用と月額費用(またはそれに相当する費用構造)
- 何が含まれていて、何が別料金なのか
- 契約期間や解約の条件
- 申し込みから稼働開始までのスケジュール
特にスケジュールは、日数の目安まで入れておくと親切です。「申し込みから約2週間で稼働」と書いてあるだけで、相手は自社の予定に当てはめて考えられるようになります。検討が具体的になるほど、話は前に進みやすくなります。
ステップ6:相手の不安を先回りして潰しておく
提案を受けた側の頭には、必ずいくつかの不安がよぎります。「うちの規模で使いこなせるのか」「途中でやめられるのか」「サポートはどうなっているのか」といったものです。
これらは商談の場で質問されることもありますが、多くは質問されないまま社内検討の場で足を引っ張ります。だからこそ、あらかじめ資料に書いておく価値があります。
やり方はシンプルで、想定される質問を5つほど並べたQ&Aページを1枚つくるだけです。過去の商談で実際に聞かれた質問を思い出して書き出すと、精度の高いページになります。
あわせて、同業種・同規模の導入事例を1つ載せられると、不安はさらに小さくなります。事例が用意できない場合は、本部やメーカーに相談してみてください。使える素材を持っていることが少なくありません。
ステップ7:次にしてほしい行動を1つに絞る
最後のページで「ご検討のほどよろしくお願いいたします」と締めてしまうと、相手は何をすればいいかわからないまま資料を閉じることになります。
ここでは、相手にしてほしい行動を1つだけ書くのがポイントです。
- 無料トライアルの申し込み
- デモンストレーションの日程調整
- 現場担当者を交えた次回打ち合わせの設定
選択肢を複数並べたくなりますが、選択肢が増えるほど人は決められなくなります。相手の検討段階に合わせて、いま最も自然な一歩を1つだけ提示しましょう。そのうえで、期限や日程候補まで書いておくと、返事がもらいやすくなります。
提案書づくりでやりがちな失敗と、その回避のコツ
ここまでの手順を踏まえたうえで、実際によく見かける失敗パターンもお伝えしておきます。
- 本部の資料をそのまま使ってしまう:汎用的に作られているため、目の前の相手の課題には刺さりません。冒頭の現状整理ページだけでも自分で作り替えましょう。
- 情報を詰め込みすぎる:1ページに複数のメッセージを載せると、どれも印象に残りません。1ページ1メッセージを目安にしてください。
- 専門用語をそのまま使う:業界の当たり前は、相手の当たり前ではありません。決裁者が現場と同じ知識を持っているとは限らない点に注意が必要です。
- 他社比較で相手を否定してしまう:現在使っているサービスを下げる表現は、担当者の過去の判断を否定することになりかねません。比較は事実の並列にとどめるのが無難です。
いずれも、完成後に一度「自分が受け取る側だったら」と読み返してみると気づけるものばかりです。提出前の5分の見直しが、思いのほか効いてきます。
商材が変わっても使い回せる「型」にしておく
提案書は、毎回ゼロから作るものではありません。一度しっかり作り込んだら、それを自社の「型」として残しておくことをおすすめします。
具体的には、次のように分けて管理しておくと運用が楽になります。
- 毎回書き換える部分:現状整理、課題、次のステップ
- 商材ごとに差し替える部分:提案内容、導入効果、費用
- 基本的に固定でよい部分:自社紹介、対応体制、Q&Aの一部
この整理ができていると、新しい商材を取り扱うことになっても、提案書の準備に時間を取られずに済みます。取扱商材を増やして売上の柱を複数持ちたいと考えている企業ほど、この「型」の有無が動き出しのスピードに直結します。
そして商談を重ねるなかで、実際に反応がよかった表現や、聞かれた質問を型に反映していく。これを続けると、提案書は使うたびに精度が上がっていきます。
まとめ:提案書は「順番」で決まる
提案書の作り方を7つのステップで見てきました。あらためて振り返っておきましょう。
- 書き始める前に、相手の課題を1行で言語化する
- 7ブロックの構成で全体を組み立てる
- 1枚目は自社紹介ではなく、相手の現状から始める
- 機能ではなく「つまりどう変わるか」を書く
- 費用とスケジュールは具体的に示す
- 想定される不安は、先回りしてQ&Aで潰す
- 最後は、してほしい行動を1つだけ伝える
特別な文章力もデザインスキルも必要ありません。順番を整えるだけで、伝わり方は驚くほど変わります。
そして、良い提案書の前提になるのは、やはり自信を持って勧められる商材があることです。いまの商材だけでは提案の幅が広がらないと感じているなら、取扱商材を増やすことも選択肢のひとつになります。既存のお客様に対して提案できるものが増えれば、新規開拓に頼らずに売上を伸ばす道も見えてきます。
まずは、自社の顧客に合いそうな商材があるか、探してみるところから始めてみてはいかがでしょうか。
