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営業ロープレのやり方とは?新しい商材の受注率を上げる実践5ステップと、形だけで終わらせないための進め方・チェックポイントを解説

投稿日:2026年8月31日 更新日:2026年8月27日

新しい商材の取り扱いを始めたとき、「資料は読み込んだし、トークスクリプトも用意した。あとは現場で売るだけ」と考えていたのに、いざ商談に出てみるとお客様の質問に詰まってしまった——そんな経験はないでしょうか。

商材知識と「売れる話し方」は、まったく別のスキルです。頭で理解していることと、お客様を前にして自分の言葉で伝えられることの間には、想像以上に大きな溝があります。そしてこの溝を埋める、もっとも確実で、もっともコストのかからない方法が営業ロープレ(ロールプレイング)です。

とはいえ、「ロープレはやったことがあるけれど、なんとなく気まずいだけで終わった」「若手が萎縮してしまい、続かなかった」という声もよく聞きます。この記事では、新しい商材を扱い始めた会社が初受注までの立ち上がりを早めるために、営業ロープレをどう設計し、どう回していけばよいのかを、実践的な5つのステップに沿って解説します。

この記事を書いた人
佐藤 康人
一般社団法人日本代理店協会 会長
株式会社プライスレス 代表取締役 佐藤 康人

代理店構築支援を専門とする株式会社プライスレスの代表として、これまで3,000社以上の代理店展開をサポート。その他、一般社団法人日本代理店協会の会長として、代理店ビジネスの普及・発展にも力を注ぐ。
「代理店募集で日本を元気に!」をスローガンに、代理店本部側、代理店側の成功を支援している。

<目次>

  1. 営業ロープレのやり方は?新商材の立ち上げで効く理由と全体像
  2. ステップ1:ロープレの「目的」と「合格ライン」を先に決める
  3. ステップ2:実際に起きた商談から「シナリオ」を作る
  4. ステップ3:役割を3つに分けて、15分で1本回す
  5. ステップ4:フィードバックは「事実→影響→代案」の順で伝える
  6. ステップ5:録音・録画して「言い回しの型」を資産化する
  7. ロープレが続かない会社がハマる4つの落とし穴
  8. 新しい商材ほどロープレの費用対効果が高い理由
  9. まとめ:ロープレは「練習」ではなく「商談の前倒し」

営業ロープレのやり方は?新商材の立ち上げで効く理由と全体像

営業ロープレとは、営業役と顧客役に分かれて商談を模擬的に再現し、実際の商談に近い状態でトークや対応を練習する手法のことです。研修の一環というイメージが強いかもしれませんが、実務の現場ではもっと直接的な目的で使われます。「本番で失敗する確率を、事前に下げておく」ためです。

特に効果が出やすいのが、新しい商材の取り扱いを始めたタイミングです。既存商材であれば、多少言葉に詰まっても経験でカバーできます。しかし新商材は、社内の誰も「答えの型」を持っていません。最初の10件の商談を全員がバラバラに手探りで進めてしまうと、失注の原因すら分からないまま時間だけが過ぎていきます。

ロープレを挟むことで、この手探り期間を大幅に短縮できます。全体像としては、次の5つのステップで進めます。

  • ステップ1:目的と合格ラインを決める
  • ステップ2:実商談ベースのシナリオを作る
  • ステップ3:役割を分けて短時間で回す
  • ステップ4:構造化したフィードバックを返す
  • ステップ5:録音・録画して型として残す

それぞれ順番に見ていきましょう。

ステップ1:ロープレの「目的」と「合格ライン」を先に決める

ロープレが形骸化する最大の原因は、目的があいまいなまま始めてしまうことです。「とりあえず商談の練習をしよう」では、参加者は何を良くすればいいのか分かりません。

まず決めるべきは、この回のロープレでどの場面を扱うのかです。商談は「アイスブレイク→ヒアリング→提案→質疑応答→クロージング」と局面が分かれており、必要なスキルはそれぞれ違います。1回のロープレで全部をやろうとすると、どこも中途半端になります。

そのうえで、合格ラインを言語化しておきます。たとえば次のような粒度です。

  • 商材の価値を、資料を見ずに60秒で説明できる
  • お客様の現状課題を、こちらから3つ以上引き出せている
  • 「他社と何が違うの?」という質問に、詰まらず答えられる
  • 価格の話が出たときに、値引きではなく価値で返せている

合格ラインが決まっていれば、フィードバックは「なんとなく良かった/悪かった」ではなく「ここは満たしている、ここはまだ」という具体的な話になります。参加者の納得感もまったく違ってきます。

ステップ2:実際に起きた商談から「シナリオ」を作る

顧客役が想像で質問を投げると、現場では起きない極端なやり取りになりがちです。逆に遠慮して簡単な質問しかしなければ、練習になりません。ここを避けるために、シナリオは実際の商談から作ります

用意しておきたいのは、次の4点です。

  • 顧客プロフィール:業種、従業員規模、担当者の役職、抱えていそうな課題
  • 商談の前提:どこから来た問い合わせか、何回目の訪問か、決裁者は同席しているか
  • 想定質問リスト:実際に聞かれた質問を5〜10個
  • 断り文句リスト:「今は必要ない」「予算がない」「他社を使っている」など、実際に言われた言葉

想定質問と断り文句は、営業メンバーから毎週集めて追記していくのがおすすめです。新商材の場合、最初の1〜2ヶ月でリストは驚くほど厚くなります。これ自体が、そのまま営業マニュアルの原型になります。

なお、シナリオは難易度を分けておくと運用しやすくなります。「関心が高く協力的なお客様」「反応が薄く時間がないお客様」「他社と比較検討中のお客様」の3パターンあれば、経験に応じて割り当てられます。

ステップ3:役割を3つに分けて、15分で1本回す

ロープレは長くやればいいというものではありません。むしろ短く、回数を多くが原則です。目安は1本15分。内訳は営業役の実演7〜8分、フィードバック5分、やり直し2〜3分程度です。

参加者は3つの役割に分けます。

  • 営業役:本番と同じ想定で商談を進める
  • 顧客役:シナリオに沿って質問・反論する。過度に意地悪にも、過度に親切にもしない
  • 観察役:発言せず、合格ラインの項目をチェックしながらメモを取る

特に重要なのが観察役です。営業役と顧客役だけだと、どうしても主観的な感想の応酬になります。第三者が合格ラインに沿って見ていることで、フィードバックが客観的になります。人数が少ない場合は、この役をマネージャーが兼ねてもかまいません。

そしてその場でもう一度やり直す時間を必ず取ってください。指摘されたことを、指摘された直後に修正して口に出す。この一往復があるかないかで、定着率がまったく変わります。「次回までに直しておいて」では、ほぼ直りません。

ステップ4:フィードバックは「事実→影響→代案」の順で伝える

ロープレが嫌われる原因のほとんどは、フィードバックのやり方にあります。人格や姿勢への言及になった瞬間、参加者は身構え、次から本気を出さなくなります。

そこでおすすめしたいのが、「事実→影響→代案」という型です。

  • 事実:「導入事例の話を3分続けていました」(観察した行動をそのまま述べる)
  • 影響:「その間、お客様の質問が止まっていました」(何が起きたかを述べる)
  • 代案:「1事例だけ話して、『御社でも同じ課題はありますか』と振ると会話が続きそうです」

「話が長い」と言うと批判になりますが、「3分続けていた」は事実です。事実からスタートすれば、指摘される側も受け取りやすくなります。

また、指摘は1回につき2〜3点までに絞りましょう。10個指摘しても人は覚えられません。合格ラインのうち、いちばん受注に効きそうな項目から順に扱うのがコツです。良かった点も必ず1つは挙げてください。何が正解かを共有することも、フィードバックの重要な役目です。

ステップ5:録音・録画して「言い回しの型」を資産化する

ロープレの効果を一番押し上げるのが、この最後のステップです。自分の商談を自分で見るほど強いフィードバックはありません。

スマートフォンやWeb会議ツールの録画機能で十分です。実際に見返すと、多くの人が次のことに気づきます。

  • 想像していたより自分がしゃべりすぎている
  • 「えー」「基本的には」などの口ぐせが多い
  • お客様の言葉を受け止めずに、次の説明に進んでしまっている
  • 資料をめくる音や間の取り方が、聞き手には長く感じられる

さらに大事なのは、うまくいったやり取りを切り出して社内で共有することです。「この断り文句には、この返し方がいちばん効いた」という具体例が10個たまれば、それは新しく入ったメンバーがすぐ使える教材になります。新商材の立ち上げ期に作ったこの蓄積は、そのまま会社の営業力の差になっていきます。

ロープレが続かない会社がハマる4つの落とし穴

やり方が分かっていても、運用が続かなければ意味がありません。よくある失敗パターンを押さえておきましょう。

  • 頻度が低すぎる:月1回では忘れます。週1回15分のほうが、月1回2時間より確実に効果が出ます
  • 顧客役が本気でない:仲間内の遠慮で優しい質問しか出ないと、本番とのギャップが埋まりません。実際に言われた断り文句をそのまま使うルールにしましょう
  • 評価と結びつけてしまう:人事評価に直結させると、参加者は失敗を隠すようになります。ロープレは「安全に失敗できる場」であることが前提です
  • ベテランが参加しない:若手だけの取り組みにすると「やらされ感」が生まれます。ベテランが営業役をやって指摘を受ける姿を見せると、場の空気が変わります

運用の負担を減らすには、朝礼の後の15分など、既存の予定にくっつけて固定化するのが一番です。「時間ができたらやる」では、まず定着しません。

新しい商材ほどロープレの費用対効果が高い理由

新規事業や新しい取扱商材で売上の柱を作ろうとするとき、多くの会社が「良い商材を選べば売れるはず」と考えます。しかし実際には、同じ商材を扱っていても、会社によって成果に大きな差が出ます。その差を生む要因のひとつが、立ち上がりの速さです。

新商材の商談は、最初の数十件が実質的なテスト期間になります。ここで何も記録せず、何も共有しないまま各自が動くと、同じ失敗を全員が繰り返します。逆に、ロープレを通じて質問と返し方を共有していけば、10件目の商談の質が、他社の50件目に追いつくということも起こり得ます。

しかもロープレは、広告費も人員追加も必要ありません。必要なのは週15分と、会議室かオンラインの通話画面だけです。新しい商材への投資対効果を高めたいと考えるなら、優先度は非常に高い施策だと言えます。

もちろん前提として、自社の営業体制に合った商材を選べているかも同じくらい重要です。訪問中心なのか、電話やオンライン中心なのか、既存顧客への追加提案なのか。自社の営業のかたちに合った商材であれば、ロープレの成果もそのまま受注に結びつきやすくなります。

まとめ:ロープレは「練習」ではなく「商談の前倒し」

営業ロープレは、練習のための練習ではありません。本番で起きることを、先に社内で起こしておく取り組みです。お客様の前で初めて詰まるのか、社内で先に詰まっておくのか。その違いが、そのまま受注率の差になります。

最後に、今日から始めるための手順をもう一度整理します。

  • 今週の商談で実際に聞かれた質問と断り文句を、5個ずつ書き出す
  • 次に扱う場面(例:ヒアリング)と合格ラインを3つ決める
  • 営業役・顧客役・観察役に分かれ、15分で1本回す
  • 「事実→影響→代案」で2〜3点だけフィードバックし、その場でやり直す
  • 録画してうまくいった返し方を切り出し、社内に共有する
  • 曜日と時間を固定し、週1回のルーティンにする

準備に時間をかける必要はありません。まずは1本、15分から試してみてください。1ヶ月続けたころには、商談での言葉の出方が明らかに変わっているはずです。

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