
秋になると、ビッグサイトや幕張メッセをはじめ、全国各地で法人向けの展示会が一気に増えてきます。招待状やDMが届いて、「今年は行ってみようか」「いっそ出展してみるべきだろうか」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
一方で、こんな声もよく聞きます。「去年出展したけれど、名刺は集まっただけで受注にはつながらなかった」「見に行ったものの、ただ疲れて帰ってきただけだった」。展示会は決して安くない投資ですから、こうした結果が続くと足が遠のいてしまうのも無理はありません。
ただ、展示会が成果につながるかどうかは、当日の頑張りよりも「行く前の準備」と「帰ってからのフォロー」でほぼ決まってしまいます。この記事では、展示会を「出展側」「来場側」の両面から捉え直し、新しい取扱商材を見つけたり、自社の販路を広げたりするための具体的な進め方を整理してご紹介します。
<目次>
- 展示会営業とは?出展と来場、2つの使い方を理解する
- なぜいま展示会が販路拡大の手段として見直されているのか
- 【来場編】新しい取扱商材を見つけるための回り方5つのコツ
- 【出展編】出展を成果につなげる準備の進め方
- 展示会後のフォローで差がつく|3日・2週間・3か月の3段階
- 展示会営業でやりがちな失敗と、その対策
- 展示会に行かなくても商材を探せる方法もある
- まとめ:展示会は「準備8割、当日1割、フォロー1割」
展示会営業とは?出展と来場、2つの使い方を理解する
展示会営業とは、業界展示会や商談会といった場を使って、新規の見込み客や取引先との接点をつくる営業手法のことです。テレアポや飛び込みと違い、相手のほうから足を運んでいる場所で会えるのが最大の特徴です。
そして意外と見落とされがちなのですが、展示会には立場の異なる2つの使い方があります。
- 出展側として使う:ブースを構え、自社の商材やサービスを来場者に提案する。新規リード獲得が主な目的。
- 来場側として使う:出展企業を回り、自社が取り扱える新しい商材やパートナー候補を探す。仕入れ・提携先の開拓が主な目的。
「展示会=出展するもの」というイメージが強いかもしれませんが、実は費用をかけずに済む来場側の使い方こそ、新しい売上の柱を探している企業にとって有効な手段です。出展には数十万円から数百万円かかるのに対し、来場は多くの場合、事前登録をすれば無料です。
自社がいまどちらの目的で展示会に関わるのか。まずここをはっきりさせておくことが、成果を分ける最初の分岐点になります。
なぜいま展示会が販路拡大の手段として見直されているのか
オンライン商談が当たり前になったいま、あえて現地に足を運ぶ展示会の価値が、むしろ上がっているという声を耳にします。理由はいくつかあります。
- メールや電話が届きにくくなった:問い合わせフォームもテレアポも競合が殺到し、埋もれやすくなっています。
- 決裁権を持つ人が来ている:展示会に足を運ぶ人は、「情報収集」ではなく「課題解決の手段を探している」段階にいることが多いのが特徴です。
- 短時間で多くの企業と比較検討できる:同じ業界の商材が一箇所に集まるため、条件やサポート体制を横並びで見比べられます。
- 担当者の人柄が見える:資料だけでは分からない、その会社の雰囲気や本気度が伝わってきます。
とくに新しい取扱商材を探している立場からすると、最後の点は大きいのではないでしょうか。代理店ビジネスは、契約後に本部と長くお付き合いすることになります。担当者と直接話し、「この会社となら組めそうか」を肌感覚で確かめられる場は、そう多くありません。
【来場編】新しい取扱商材を見つけるための回り方5つのコツ
来場する場合、ただ会場をぐるっと歩くだけでは、パンフレットの束を持ち帰るだけで終わってしまいます。商材探しを目的に行くなら、次の5点を意識してみてください。
1. 事前に出展社リストを見て、訪問先を10社程度に絞る
ほとんどの展示会は、公式サイトで出展社リストと小間番号を公開しています。当日にあてもなく歩くのではなく、事前に「この10社は必ず話す」と決めておくだけで、収穫はまったく変わります。
2. 「代理店募集をしているか」をその場で聞く
ブースでは商材の説明が中心になりますが、こちらから「販売パートナーの募集はされていますか」と切り出せば、話は一気に具体的になります。募集していれば、その場で担当者につないでもらえることも珍しくありません。
3. 自社の顧客層を先に伝える
「うちは飲食店に月100件ほど接点があります」といった情報を先に出すと、相手も本気で応じてくれます。名刺交換だけの相手と、商談候補としての相手では、その後の対応がまるで違ってきます。
4. 報酬体系と初期費用は必ず確認する
その場で聞きにくければ、「あとで資料をいただけますか」でも構いません。ただ、「初期費用の有無」「報酬はフロー型かストック型か」「ノルマの有無」の3点だけは、帰る前に押さえておきたいところです。
5. その日のうちにメモを残す
名刺の裏でも、スマートフォンのメモでも構いません。「どんな話をしたか」「なぜ気になったか」を一言書いておくだけで、1週間後の自分がまったく違う判断をできます。
【出展編】出展を成果につなげる準備の進め方
自社が出展する側の場合、成果は準備段階でほぼ決まります。押さえておきたいのは次の流れです。
- 目的とKPIを一つに絞る:「名刺◯枚」なのか「商談アポ◯件」なのかで、ブースの設計も声かけの仕方も変わります。両方を追うと、どちらも中途半端になりがちです。
- キャッチコピーは3秒で伝わるものに:来場者はブースの前を歩きながら判断しています。社名やサービス名より、「誰の、どんな悩みが、どうなるか」を大きく掲げるほうが足が止まります。
- 既存顧客・見込み客に事前案内を出す:展示会は新規獲得の場と思われがちですが、実は「会いたかった既存の相手を呼び出す口実」としても優秀です。
- その場で使う質問を2つ決めておく:「いま何かお困りごとはありますか」ではなく、「◯◯の業務は、どなたが担当されていますか」のように、具体的で答えやすい質問を用意しておきます。
- ブース内での役割分担を決める:声かけ担当、説明担当、名刺整理担当。決めておかないと、全員が同じ動きをして機会を逃します。
なお、出展費用に見合うかどうかを判断するには、「何件受注すれば元が取れるのか」を先に計算しておくことをおすすめします。ここが曖昧なまま出展を決めてしまうと、終わったあとに評価のしようがなくなってしまいます。
展示会後のフォローで差がつく|3日・2週間・3か月の3段階
展示会の成果が出ない最大の原因は、当日の動きではなくフォロー不足です。名刺は集まったのに、そのまま引き出しにしまわれている——という話は、本当によく耳にします。
フォローは、次の3段階に分けて考えると動きやすくなります。
◆ 3日以内:お礼の連絡
記憶が鮮明なうちに、必ず一度連絡を入れます。定型文ではなく、「◯◯のお話が印象に残りました」と、その場で交わした会話に触れるのがポイントです。1行入れるだけで、開封率も返信率も変わってきます。
◆ 2週間以内:温度感で仕分けする
すべての名刺を同じ熱量で追う必要はありません。「すぐ商談したい」「半年後に検討」「今回は情報収集だけ」の3つに分け、上位のみアポイントを取りにいきます。
◆ 3か月以降:中長期のリストに載せる
今回は決まらなかった相手も、状況が変われば動きます。メールマガジンや定期的な情報提供のリストに入れておき、忘れられない状態を保っておきましょう。
展示会で得た名刺は、その日を境に価値が下がっていく資産です。「何日以内に、誰が、どうフォローするか」を出発前に決めておくだけで、同じ展示会が別物になります。
展示会営業でやりがちな失敗と、その対策
よくある失敗パターンと、その対策を整理しておきます。
- 名刺の枚数だけを目標にしてしまう → 枚数は手段であって成果ではありません。「商談化した件数」で振り返るようにします。
- ブースで座って待っている → 来場者は声をかけられないと立ち止まりません。立って、通路側を向いておくだけで接触数は変わります。
- 資料を配って満足する → 配った資料の大半は読まれません。渡すより、その場で1分話すほうが記憶に残ります。
- フォロー担当が決まっていない → 「営業部でやっておいて」は、誰もやらないのと同じです。名前を決めておきます。
- 1回の出展で判断してしまう → 展示会は認知の積み重ねで効いてくる面があります。判断するなら、最低2回は同じ展示会に出てからにしたいところです。
展示会に行かなくても商材を探せる方法もある
ここまで展示会の活用法をお伝えしてきましたが、正直なところ、展示会には制約もあります。開催時期が限られ、会場まで足を運ぶ必要があり、出展社の顔ぶれもその展示会のテーマに縛られます。地方の企業にとっては、移動だけで丸一日かかることも珍しくありません。
「もっと気軽に、いろいろな商材を比較したい」という場合は、代理店募集の情報が集まったサイトを使うという選択肢もあります。業種・報酬形態・初期費用の有無といった条件で絞り込めるため、展示会の会場を歩き回るより効率よく候補を並べられます。
展示会で気になった商材と、Web上で見つけた商材。両方を並べて比較検討する。そんな進め方が、いまは一番現実的なのではないでしょうか。
まとめ:展示会は「準備8割、当日1割、フォロー1割」
最後に、この記事のポイントを整理します。
- 展示会には「出展側」と「来場側」の2つの使い方があり、商材探しなら来場側の活用が費用対効果に優れる
- 来場するなら、事前に出展社リストで訪問先を絞り、「代理店募集の有無」「報酬体系」「初期費用」を確認する
- 出展するなら、目的を一つに絞り、3秒で伝わるキャッチコピーと役割分担を用意する
- 成果を左右するのはフォロー。3日・2週間・3か月の3段階で追いかける仕組みをつくる
- 展示会は万能ではない。Web上の代理店募集情報と組み合わせて比較するのが現実的
秋の展示会シーズンは、新しい商材や取引先と出会う絶好のタイミングです。ただ、その前に「自社はどんな商材を求めているのか」を言語化しておくことが何より大切です。それさえ決まっていれば、会場でもWebでも、判断のスピードが格段に上がります。
まずは、どんな商材が世の中にあるのかを眺めてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。
