
新しい商材を取り扱いはじめたものの、「専門的な質問をされると答えられない」「自社だけで商談を進めると、どうしても説明が浅くなってしまう」と感じたことはないでしょうか。
そんなときに大きな武器になるのが、商材のメーカーや本部の担当者に商談へ同席してもらう「同行営業」です。うまく使えば、扱いはじめたばかりの商材でも一気に受注率が上がりますし、何より自社の営業担当が商談の現場で商材知識を吸収できます。
一方で、「とりあえず来てもらう」だけの同行営業は、かえって商談を散らかしてしまうこともあります。この記事では、同行営業を成果につなげるための進め方を、事前準備から当日の進行、商談後のフォローまで手順に沿って整理します。今日の商談準備からそのまま使える内容にしていますので、ぜひ最後までご覧ください。
<目次>
- 同行営業の進め方は?成功に導く全体像を先に押さえる
- ステップ1:同行を依頼する前に「目的」と「勝ち筋」を決める
- ステップ2:事前打ち合わせで役割分担とゴールをすり合わせる
- ステップ3:商談当日の進行台本を10分でつくる
- ステップ4:当日は「主役は自社、専門家はメーカー」で進行する
- ステップ5:商談後24時間以内のフォローで受注率が変わる
- 同行営業でよくある失敗と、その回避のコツ
- 同行営業に協力的な商材の見つけ方
- まとめ:同行営業は「助けてもらう場」ではなく「一緒に勝つ場」
同行営業の進め方は?成功に導く全体像を先に押さえる
同行営業とは、自社の営業担当が主導する商談に、商材のメーカー担当者や本部の担当者に同席してもらう営業手法のことです。代理店ビジネスでは「メーカー同行」「本部同行」などとも呼ばれます。
まず押さえておきたいのは、同行営業は「わからないことを代わりに答えてもらう場」ではないということです。目的は、お客様が意思決定するために足りない情報と安心感を、最短距離で届けることにあります。
そのうえで、進め方の全体像は次の5ステップに整理できます。
- ステップ1:同行を依頼する前に、目的と勝ち筋を決める
- ステップ2:事前打ち合わせで役割分担とゴールをすり合わせる
- ステップ3:商談当日の進行台本をつくる
- ステップ4:当日は自社が主導し、メーカーは専門家として登場させる
- ステップ5:商談後24時間以内にフォローし、次のアクションを固定する
この順番を守るだけで、同行営業の質は大きく変わります。ここからは、各ステップで具体的に何をすればよいのかを見ていきましょう。
ステップ1:同行を依頼する前に「目的」と「勝ち筋」を決める
同行を依頼する前に、まず自社で決めておくべきことがあります。それは「この商談で何が決まれば前進なのか」という一点です。
ここが曖昧なまま同行をお願いすると、メーカー担当者は「とりあえず商品説明をする」しかできません。結果として、お客様にとっては情報量ばかり多くて判断できない商談になってしまいます。
依頼前に、次の3つを言語化しておきましょう。
- 商談のゴール:見積提出の合意、トライアル開始、稟議資料の材料そろえ、など具体的に
- お客様が引っかかっている点:価格なのか、導入負荷なのか、社内の反対なのか
- 同行者にしかできないこと:技術的な裏付け、他社導入事例、特別条件の可否判断
- お客様側の出席者:現場担当だけか、決裁者が同席するのか
とくに大切なのが3つ目です。「自社でも答えられること」しか依頼内容がないなら、その商談に同行は必要ありません。同行の価値は、自社では出せない一次情報や権限を持ち込めることにあります。逆に言えば、そこが明確な商談こそ同行を頼むべき商談ということです。
ステップ2:事前打ち合わせで役割分担とゴールをすり合わせる
同行が決まったら、必ず商談前に打ち合わせの時間を取りましょう。オンラインで15〜30分あれば十分です。この一手間を省いた同行営業は、ほぼ確実に散らかります。
共有すべき情報は次のとおりです。
- お客様の会社概要、事業内容、現在の課題
- これまでの商談経緯と、すでに伝えてある内容
- 出席者の氏名・役職・関心事(決裁者は誰か)
- 想定される反対意見や、過去に出た質問
- 今回の商談のゴールと、譲れないライン
そのうえで、「どこからどこまでを誰が話すか」を分単位で決めておくことをおすすめします。たとえば「冒頭のヒアリングと課題整理は自社、商材の技術説明と導入事例はメーカー、価格提示とクロージングは自社」といった具合です。
また、事前に「今日は決めないこと」も決めておくと安心です。その場の勢いで値引き条件を口にしてしまい、後から社内で調整がつかなくなるケースは意外と多いものです。特別条件の判断は誰がどこまでできるのかを、事前に確認しておきましょう。
ステップ3:商談当日の進行台本を10分でつくる
台本というと大げさに聞こえるかもしれませんが、A4半分のメモで構いません。時間配分と担当者を書き出すだけで、商談の精度は明らかに上がります。
60分商談であれば、たとえば次のような構成が使いやすいでしょう。
- 0〜5分:あいさつ・同行者の紹介・本日のゴール共有(自社)
- 5〜20分:課題の再確認とヒアリング(自社)
- 20〜40分:課題に沿った商材説明・導入事例・技術面の質疑応答(メーカー)
- 40〜50分:導入イメージ、体制、価格、スケジュールの提示(自社)
- 50〜60分:次のアクションの合意(自社)
ポイントは、冒頭で必ず「本日のゴール」を口に出して共有することです。「本日は◯◯についてご判断いただける材料をおそろえするお時間にできればと思います」と最初に言うだけで、商談全体が締まります。
あわせて、同行者の紹介の仕方も準備しておきましょう。「メーカーの方です」ではなく、「この商材を10年開発してきた責任者で、御社と同じ業界の導入を50社以上見てきた方です」のように紹介すると、同席の価値がお客様にきちんと伝わります。
ステップ4:当日は「主役は自社、専門家はメーカー」で進行する
当日にもっとも意識したいのは、商談の進行権を自社が握り続けることです。同行者に任せきりにしてしまうと、お客様の中で「窓口はメーカーさん」という認識ができてしまい、契約後の関係づくりにも影響します。
当日の実務ポイントを整理します。
- 司会は必ず自社が務める:開始・切り替え・締めの声かけは自社の役割
- 質問は一度自社で受け止める:「その点、専門的な部分なので◯◯さんから補足いただけますか」とつなぐ
- 話が長引いたら自社が巻き取る:「詳細は後日資料でお送りしますので、次に進めますね」
- お客様の反応を観察する:誰がうなずき、誰が渋い顔をしているかを見ておく
- 議事メモを自社が取る:決まったこと・持ち帰り事項をその場で読み上げて確認する
とくに効果が大きいのが最後の項目です。商談の終盤で「本日決まったのは◯◯、持ち帰りは△△、次回は◯月◯日で調整、という理解で合っていますでしょうか」と口頭で確認すると、認識のズレがその場で解消されます。同行者にとっても、自社が商談をしっかり握っている姿は信頼につながります。
ステップ5:商談後24時間以内のフォローで受注率が変わる
同行営業は、終わった瞬間から次が始まります。せっかく良い商談ができても、フォローが遅れると熱量は急速に冷めてしまいます。
商談後24時間以内に、次の3方向へ動きましょう。
- お客様へ:お礼と議事メモ、宿題への回答期日、次回日程の候補を送る
- 同行者へ:お礼と、当日出た宿題の依頼、こちらの所感の共有
- 自社内へ:出た質問と回答をナレッジとして記録する
3つ目を軽視しないでください。同行営業の最大の副産物は、自社の営業力そのものが上がることです。当日メーカー担当者が答えた内容をそのまま記録しておけば、次の商談からは自社だけで対応できる範囲が広がります。「毎回同行を頼まないと売れない」状態から抜け出すために、この蓄積が効いてきます。
目安として、同じ商材で3〜5回同行してもらったら、その後は自社単独で回せるようにすることを一つのゴールに設定するとよいでしょう。
同行営業でよくある失敗と、その回避のコツ
実際の現場でよく見かける失敗を、回避策とあわせて挙げておきます。心当たりがあるものがあれば、次の商談から一つずつ直してみてください。
- 同行者が商品説明を延々としてしまう:事前に持ち時間を伝え、当日は自社が巻き取る
- 自社担当が一言も話さない:司会・ヒアリング・クロージングは自社の担当と決めておく
- お客様が同行者と直接やり取りを始める:窓口は自社である旨を冒頭で明言する
- その場で条件を口約束してしまう:判断権限の範囲を事前に確認しておく
- 準備不足のまま同行を依頼する:ゴールと課題が言語化できていない商談は日程を後ろにずらす
- 成果が出ず、同行を頼みにくくなる:結果と学びを必ず報告し、次につなげる
最後の項目は、意外と見落とされがちです。同行してもらった案件が失注しても、「なぜ失注したか」を共有すれば、メーカー側にとっても貴重な情報になります。報告を続けている代理店は、優先的に同行を引き受けてもらえるようになります。
同行営業に協力的な商材の見つけ方
ここまで読んで「そもそも自社の扱っている商材は、同行をお願いできる体制なのだろうか」と思われた方もいるかもしれません。
実は、同行支援の手厚さは商材本部によって大きく差があります。新しく商材を選ぶときは、以下の観点を確認しておくと安心です。
- 同行営業に対応してもらえるか、回数や条件に制限はあるか
- オンライン商談への同席は可能か(移動コストがかからず頼みやすい)
- 提案資料・見積書のひな形が用意されているか
- 技術的な質問に答えられる窓口があるか、回答までの目安時間はどれくらいか
- 導入事例が業界別に整理されているか
- 代理店向けの勉強会や研修が定期開催されているか
とくにオンライン同行に対応しているかどうかは、実務上のインパクトが大きいポイントです。移動が発生しないぶん本部側も引き受けやすく、「30分だけ同席してほしい」といった小さな依頼もしやすくなります。
商材選びの段階でこうしたサポート体制を確認しておけば、取り扱い開始後の立ち上がりスピードがまったく変わってきます。
まとめ:同行営業は「助けてもらう場」ではなく「一緒に勝つ場」
同行営業の進め方を、あらためて整理します。
- 依頼前に、商談のゴールと「同行者にしかできないこと」を決める
- 事前打ち合わせで、顧客情報・役割分担・譲れないラインを共有する
- 時間配分と担当者を書いた簡単な進行台本をつくる
- 当日は自社が司会を務め、メーカーは専門家として登場させる
- 24時間以内に、顧客・同行者・社内の3方向へフォローする
- やり取りをナレッジ化し、単独で回せる範囲を広げていく
同行営業は、自社の力不足を補うための手段ではありません。お客様に最短で正しい判断材料を届けるために、自社とメーカーが役割を分担する仕組みです。そう捉え直すだけで、依頼の仕方も当日の振る舞いも変わってくるはずです。
そして、こうした支援を受けやすい商材と出会えるかどうかも、販路拡大の成否を分ける大きな要素になります。新しい収益の柱を探している方、既存の営業リソースを活かせる商材をお探しの方は、まずはサポート体制まで含めて比較してみてはいかがでしょうか。
