
取引先を訪問すると、業種を問わず「人が採れない」「採ってもすぐ辞めてしまう」という話題が出てくる。最近、そんな場面が増えていませんか。
これは裏を返せば、目の前のお客様がすでに自覚している課題だということです。営業において、相手が困っていることをこちらから説明する必要がないというのは、非常に大きなアドバンテージではないでしょうか。
そこでいま、新しい取扱商材として注目されているのが「採用支援商材」です。この記事では、採用支援商材の種類や収益の仕組み、提案のコツ、そして商材を選ぶときに見るべきポイントまでを整理してお伝えします。
<目次>
- 採用支援商材とは?人材不足の現場を支えるサービスの総称
- なぜいま採用支援商材の取り扱いが増えているのか
- 採用支援商材の主な種類と特徴
- 採用支援商材の収益モデル|ストック型とフロー型
- 採用支援商材の取り扱いに向いている会社
- 採用支援商材を提案するときの3つのコツ
- 取り扱う採用支援商材を選ぶときのチェックポイント
- 始める前に知っておきたい注意点
- まとめ|「人が採れない」は、これからも続く課題
採用支援商材とは?人材不足の現場を支えるサービスの総称
採用支援商材とは、企業の「人を採る・定着させる」という活動を助けるサービスや商品の総称です。求人媒体への掲載サービスから、応募者の管理システム、採用サイトの制作、面接代行、定着支援のツールまで、かなり幅広い領域が含まれます。
ひとくちに「採用支援」といっても、対象となるのは正社員の採用だけではありません。アルバイト・パート、派遣、業務委託、外国人材、シニア人材と、人の集め方が多様化しているぶん、それぞれに対応したサービスが生まれています。
代理店・販売パートナーとして扱う場合は、これら全部ではなく、自社の顧客層に刺さる領域をひとつ選ぶのが基本です。飲食・小売の顧客が多いならアルバイト採用、製造業が多いなら技能人材、といった具合に絞り込むほど提案は通りやすくなります。
なぜいま採用支援商材の取り扱いが増えているのか
採用支援商材が新規の取扱商材として選ばれる理由は、大きく3つあります。
- 課題が顕在化している……「人が足りない」は、こちらが気づかせる必要のない課題です。ニーズ喚起の手間が少なく、商談の入口を作りやすい
- 業種を選ばない……飲食、建設、介護、運送、製造、小売。人を雇っている会社であれば、すべて見込み客になります
- 予算が確保されやすい……採用費は、多くの企業にとって「削れない支出」です。人が採れなければ事業そのものが回らないため、他の経費より優先されやすい傾向があります
とくに3つ目は見落とされがちですが、営業する側にとっては大きな意味を持ちます。「興味はあるけれど予算が」で止まりにくい商材だからです。
採用支援商材の主な種類と特徴
代理店として扱われることの多いサービスを、大きく4つに分けて整理してみます。
- 求人掲載・集客系……求人媒体、求人検索エンジンへの出稿代行、SNS求人など。「応募が来ない」という悩みに直結するため、もっとも提案しやすい入口です
- 採用管理・業務効率化系……応募者管理システム、面接日程の自動調整、Web面接ツールなど。月額課金型が多く、継続収益になりやすい領域です
- 制作・ブランディング系……採用サイト、採用パンフレット、動画制作など。単価は高めですが、多くは一度きりの取引になります
- 定着・育成支援系……入社後研修、eラーニング、社員アンケートツールなど。「採っても辞める」という、採用の次に来る悩みに応えるサービスです
はじめて取り扱うのであれば、話を切り出しやすい求人掲載・集客系から入り、関係ができたところで管理系や定着支援を重ねていく流れが現実的ではないでしょうか。
採用支援商材の収益モデル|ストック型とフロー型
採用支援商材の報酬は、大きく次の3つのパターンに分かれます。
- 月額課金型(ストック型)……採用管理システムなどで一般的。1件あたりの金額は控えめでも、解約されない限り毎月積み上がります
- 都度発生型(フロー型)……求人掲載や制作物など。1件の単価は大きいものの、次の受注がなければ翌月の売上はゼロになります
- 成果報酬型……採用が決まった時点で報酬が発生する形。初期費用がかからないぶん、顧客に提案しやすいのが利点です
おすすめは、フロー型で当月の売上をつくりながら、ストック型で土台を厚くしていく組み合わせです。求人掲載で結果を出し、「応募者の管理が追いつかない」というタイミングで管理システムを提案する。この流れが作れると、1社あたりの取引額も継続性も上がっていきます。
採用支援商材の取り扱いに向いている会社
採用支援商材と相性がよいのは、次のような会社です。
- 飲食、小売、建設、介護、運送など、人の入れ替わりが多い業種に顧客基盤がある会社
- すでに経営者・人事担当者と直接話せる関係を持っている会社(広告代理店、士業、保険、ITツール販売など)
- 提案型の営業ができる会社。単に媒体を売るのではなく、「どう募集すれば応募が集まるか」まで踏み込める体制があると強い
逆に、単価の安い媒体掲載だけを数多く売るモデルは、労力のわりに利益が残りにくくなりがちです。1社と長く付き合う前提で組み立てられるかが、続くかどうかの分かれ目になります。
採用支援商材を提案するときの3つのコツ
①「採用の話」ではなく「事業の話」から入る
いきなり求人媒体の説明を始めても、「今は間に合っています」で終わりがちです。「今の人数で、来期の売上目標は届きそうですか」と事業の側から聞くと、人の問題が自然と出てきます。
②現状の採用コストを一緒に整理する
多くの企業は、採用にいくらかかっているかを正確に把握していません。掲載費、紹介手数料、面接に使った時間、早期離職による採り直し。これらを並べるだけで、提案する商材の費用対効果がはっきり見えてきます。
③繁忙期の3か月前に動く
採用には季節の波があります。新年度前、夏の繁忙期前、年末商戦前。動き出してから提案しても遅いので、逆算して早めに接触することが受注率を大きく左右します。
取り扱う採用支援商材を選ぶときのチェックポイント
採用支援の分野はサービスが非常に多く、選び方を間違えると「売りにくい商材」を抱え込むことになります。本部と話す際は、次の点を確認しておきたいところです。
- 導入実績の業種……自社の顧客層と同じ業種での実績があるか。事例がそのまま営業資料になります
- 成果が出るまでの期間……応募数がどのくらいの期間で変化するのか。ここが曖昧な商材は、解約リスクが高くなります
- サポート範囲……原稿作成や運用のフォローを本部がどこまで担ってくれるか。すべて代理店任せだと、運用負担で手が回らなくなります
- 報酬の継続性……初回のみか、継続中ずっと発生するか。契約書の該当箇所は必ず確認しましょう
- 競合代理店の状況……同じエリア・同じ顧客層に何社の代理店がいるか
始める前に知っておきたい注意点
採用支援商材には、いくつか気をつけたい点もあります。
まず、職業安定法や労働者派遣法など、関連する法規制がある領域だということ。求人媒体の掲載代行であれば問題にならないケースがほとんどですが、人材紹介そのものを行うには有料職業紹介事業の許可が必要です。どこまでが自社の業務範囲なのか、本部とあらかじめすり合わせておきましょう。
もうひとつは、結果が見えやすい商材であるという点です。応募が来なければ、その事実はすぐに伝わります。だからこそ、契約前の期待値の置き方が重要になります。「必ず採れます」ではなく、「この条件だとこのくらいの応募が見込めます」と幅を持って伝えるほうが、結果として長い取引につながります。
まとめ|「人が採れない」は、これからも続く課題
採用支援商材は、景気の波に左右されにくく、業種を問わず需要がある分野です。働き手が増えにくい状況が続くかぎり、この課題がなくなることは考えにくいでしょう。
ポイントを振り返ります。
- 採用支援商材は、集客・管理・制作・定着の4領域に分かれる
- フロー型で足元の売上を、ストック型で継続収益をつくる組み合わせが有効
- 提案は「採用の話」ではなく「事業の話」から入る
- 商材選びでは、実績業種・サポート範囲・報酬の継続性を必ず確認する
すでに取引先を持っている会社であれば、明日の訪問先にそのまま切り出せるテーマでもあります。まずは自社の顧客層に合う商材がどれなのか、情報を集めるところから始めてみてはいかがでしょうか。
