
「今月もあの案件は失注か……」「理由を聞いても『他社に決めました』としか返ってこない」――そんな経験はないでしょうか。
営業をしていれば、失注は避けられません。ただ、失注したあとに「残念だった」で終わらせてしまうと、同じ負け方を何度も繰り返してしまいがちです。反対に、失注の中には、次の受注につながるヒントがたくさん眠っています。
この記事では、失注を振り返って営業に活かす「失注分析」について、基本的な考え方から具体的な進め方までをやさしく解説します。すでに営業活動をしている会社や、新しい取扱商材を探している会社の方も、ぜひ参考にしてみてください。
<目次>
- 失注分析とは?受注より「負けた理由」が大切な理由
- 失注の原因は大きく4つに分けられる
- 失注分析の進め方5ステップ
- 本音を聞き出すコツと、記録に残すべき項目
- 失注分析を取扱商材の見直しに活かす
- まとめ:失注は「次の受注」の材料になる
失注分析とは?受注より「負けた理由」が大切な理由
失注分析とは、商談が成約に至らなかった案件について、その原因を整理し、次の営業に活かすための振り返りのことです。
受注した案件は、お礼や納品の対応でどうしても忙しくなります。一方で失注した案件は、気持ちの面でも「早く次へ」と切り替えたくなり、そのまま記憶から消えてしまいがちではないでしょうか。
しかし、受注の理由は「たまたま相手の予算とタイミングが合った」といった偶然の要素も多く、再現しにくいものです。それに対して失注の理由は、提案の仕方・価格・商材の特徴・フォローの遅れなど、自社で改善できる点が見つかりやすいという特徴があります。
つまり、失注分析は「負けを反省する作業」ではなく、「次に勝つ確率を上げるための情報収集」と考えるとよいかもしれません。
失注の原因は大きく4つに分けられる
失注の理由は案件ごとにさまざまですが、整理してみると、おおむね次の4つに分類できます。最初から細かく分けようとせず、まずはこの4つに当てはめてみてください。
- 価格:予算に合わなかった、他社のほうが安かった、費用対効果が見えなかった
- 商材・機能:求める条件を満たしていなかった、競合のほうが使いやすそうだった
- 提案・営業対応:課題のヒアリングが浅かった、返信やフォローが遅かった、決裁者に届いていなかった
- タイミング・社内事情:今は導入する時期ではない、担当者が変わった、社内の優先順位が下がった
この4分類で記録していくと、「うちは価格で負けているのか、それとも提案の段階で負けているのか」が見えてきます。原因によって打つ手はまったく違うため、まずは分類してみることが大切です。
たとえば「提案・営業対応」が多いなら、商材を変えるよりも、ヒアリングの型やフォローのルールを整えるほうが効果的かもしれません。
失注分析の進め方5ステップ
ここからは、実際の進め方を5つのステップでご紹介します。難しい仕組みは必要ありません。表計算ソフトひとつでも始められます。
- ステップ1:失注案件をその日のうちに記録する。時間が経つと理由があいまいになるため、失注が分かった時点で、すぐに簡単なメモを残します。
- ステップ2:失注の原因を4分類で仮置きする。先ほどの「価格」「商材・機能」「提案・営業対応」「タイミング・社内事情」のどれに近いかを、まず担当者が判断します。
- ステップ3:可能なら相手に理由を聞く。後述するコツを使って、失礼のない範囲でお客様の本音を確認します。
- ステップ4:月に1回、まとめて振り返る。件数が少なくても構いません。どの原因が多いかを数えるだけで、傾向が見えてきます。
- ステップ5:改善策を1つだけ決めて実行する。あれもこれもと欲張らず、「来月は初回提案の前に必ず課題を3つ確認する」のように、小さな行動に落とし込みます。
大切なのは、完璧な分析をすることよりも、続けられる形で回し続けることです。3か月も続ければ、自社の「負けパターン」がはっきり見えてくるのではないでしょうか。
本音を聞き出すコツと、記録に残すべき項目
失注の理由を直接聞くのは、少し勇気がいるかもしれません。ただ、聞き方を工夫すれば、案外きちんと答えてもらえることが多いものです。
ポイントは、「責める」のではなく「学ばせてもらう」姿勢で聞くことです。
- 「今後の参考にさせていただきたいので、差し支えない範囲で教えていただけますか」と前置きする
- 「どの点が決め手になりましたか」と、選ばれた側の理由も聞く
- 電話は負担になりやすいので、短いメールや1〜2分の確認にとどめる
- 「また何かあればご連絡ください」と、関係を切らずに終える
記録に残す項目は、次のようなシンプルなもので十分です。
- 案件名・お客様の業種・規模
- 提案した商材と金額
- 失注の原因(4分類)と、具体的な一言メモ
- 競合がいた場合は、その名前や特徴
- 再提案できそうな時期(半年後、来期など)
とくに最後の「再提案の時期」は見落とされがちですが、失注した相手は「今回は合わなかっただけ」というケースも少なくありません。半年後や来期に改めて連絡できるよう、メモを残しておくと、失注が「先送り」に変わる場合もあります。
失注分析を取扱商材の見直しに活かす
失注分析は、営業の進め方の改善だけでなく、取り扱う商材そのものを見直す材料にもなります。
たとえば、「商材・機能」を理由とする失注が続いているなら、お客様が求める条件と、いまの取扱商材にズレが生じているのかもしれません。「この機能がないと検討できない」「この業界向けの実績が欲しい」といった声が複数集まれば、それは新しい商材を探すときの大きなヒントになります。
また、「価格」での失注が多い場合は、安さで勝負するのではなく、費用対効果をうまく説明できる商材や、継続的に収益が見込める商材を組み合わせるという考え方もあります。
お客様が本当に困っていること、求めていることは、失注の中にこそ現れます。「どんな商材があれば、あのお客様に提案できたか」と考える習慣をつけると、商材探しの軸がはっきりしてくるのではないでしょうか。
まとめ:失注は「次の受注」の材料になる
最後に、この記事のポイントを振り返ります。
- 失注分析は、負けを反省するのではなく、次に勝つための情報収集である
- 失注の原因は「価格」「商材・機能」「提案・営業対応」「タイミング・社内事情」の4つに分けて考える
- 失注はその日のうちに記録し、月1回の振り返りで改善策を1つだけ決めて実行する
- お客様には「学ばせてほしい」という姿勢で理由を聞き、再提案の時期も残しておく
- 失注の傾向は、取扱商材を見直したり、新しい商材を探したりするヒントになる
失注は、誰にとっても気持ちのよいものではありません。ただ、そこから学べる会社と、流してしまう会社とでは、半年後、1年後の成果に大きな差が出てくるはずです。
まずは今月の失注案件を、ひとつだけ振り返ってみることから始めてみてはいかがでしょうか。もし「いまの商材だけでは限界を感じる」ということであれば、新しい取扱商材を探してみるのも一つの選択肢です。
