
9月が近づくと、「上期の数字が思ったより伸びなかった」「このままだと年間目標に届かないかもしれない」と、少し焦りを感じはじめる時期ではないでしょうか。
下期は、上期の遅れを取り戻せる最後のチャンスであると同時に、年末年始をはさむため実働日数が意外と少ない期間でもあります。だからこそ、なんとなく「これまで通り頑張る」ではなく、数字から逆算した具体的な計画が必要になります。
この記事では、下期の営業計画をどう立てればよいのかを、上期の振り返りから目標の分解、そして足りない分を埋めるための取扱商材の見直しまで、5つのステップに分けて解説します。
<目次>
- 下期の営業計画とは?上期の延長ではなく「立て直しの設計図」
- なぜ下期の営業計画で差がつくのか
- ステップ1:上期を「感覚」ではなく数字で振り返る
- ステップ2:下期の売上目標を活動量まで逆算する
- ステップ3:既存顧客と新規開拓のバランスを決める
- ステップ4:足りない分は「取扱商材の追加」で埋める
- ステップ5:月次で計画を回す仕組みをつくる
- 下期の営業計画でありがちな3つの失敗
- まとめ:下期の差は「9月に何を決めたか」で決まる
下期の営業計画とは?上期の延長ではなく「立て直しの設計図」
下期の営業計画とは、年度の後半(一般的には10月〜3月、あるいは7月〜12月)に向けて、残りの期間で何をどれだけ売るのか、そのために誰が何をするのかを具体的に決めた行動の設計図のことです。
ここで大切なのは、下期の計画は「上期の計画をそのまま延長したもの」ではないということです。上期は、期首に立てた仮説にもとづいて動いた期間でした。一方で下期は、上期という実績データが手元にある状態でスタートできます。つまり、より精度の高い計画が立てられるはずなのです。
にもかかわらず、多くの現場では「上期が未達だったから、下期はもっと頑張ろう」という精神論で終わってしまいがちです。しかし、同じやり方を気合いで繰り返しても、結果はあまり変わりません。下期に必要なのは、上期に何がうまくいって、何がうまくいかなかったのかを踏まえた「やり方の修正」です。
なぜ下期の営業計画で差がつくのか
下期は、上期と比べて特有の事情がいくつかあります。これを把握しているかどうかで、着地の数字はまったく違ってきます。
- 実働日数が少ない:年末年始やお盆をはさむため、稼働できる営業日が想像より短くなります
- 相手の予算消化タイミングと重なる:決算前に予算を使い切りたい企業が多く、提案が通りやすい時期がある
- 翌年度の検討が始まる:来期予算に組み込んでもらえれば、大型案件につながりやすい
- 受注から売上計上までのタイムラグ:期末ギリギリの受注は今期の数字に乗らないこともある
特に見落とされやすいのが、最後のタイムラグです。「3月に受注すればいい」と考えていると、検収や納品が翌期にずれ込み、今期の数字にならないというケースは珍しくありません。逆算するなら、期末の1〜2ヶ月前にはクロージングが終わっている状態を目指す必要があります。
つまり、下期の実質的な勝負期間は思っているより短いのです。この前提を持って計画を立てるだけでも、動き出しのスピードは大きく変わります。
ステップ1:上期を「感覚」ではなく数字で振り返る
下期の計画づくりは、上期の振り返りから始まります。ここを飛ばして目標だけ立ててしまうと、根拠のない数字が並ぶだけになってしまいます。
振り返るときは、「頑張った」「忙しかった」といった感覚ではなく、次のような数字で見ていくのがおすすめです。
- アプローチ数(リスト件数・架電数・送信数)
- アポイント獲得数とアポ率
- 商談数と商談化率
- 受注数と受注率
- 平均単価と平均商談期間
- 失注理由の内訳
この数字を並べると、「どこが詰まっていたのか」が一目でわかります。アプローチ数は十分なのにアポ率が低いなら、トークや切り口の問題かもしれません。商談数は多いのに受注率が低いなら、提案内容や価格の見せ方に課題があるのかもしれません。
特に注目したいのが失注理由です。「価格が合わなかった」が多いのか、「他社に決まった」が多いのか、「ニーズがそもそもなかった」が多いのかで、打つべき手はまったく変わってきます。ニーズがない相手にアプローチし続けていたのなら、直すべきは営業トークではなくターゲットの選び方だった、ということもあるでしょう。
ステップ2:下期の売上目標を活動量まで逆算する
振り返りができたら、次は下期の目標設定です。ここでのポイントは、売上金額で終わらせず、日々の活動量まで分解することです。
たとえば下期の目標が3,000万円で、平均単価が100万円だとします。すると必要な受注数は30件。上期の受注率が20%だったなら、必要な商談数は150件です。さらにアポ率が10%なら、アプローチは1,500件必要という計算になります。
これを実働月数で割れば、月あたり、そして1日あたりに何件動けばよいかが見えてきます。ここまで落とし込んで初めて、「その計画は現実的に実行できるのか」が判断できるようになります。
もしこの計算をして、「今のやり方では物理的に不可能だ」とわかったなら、それは非常に価値のある発見です。人を増やすのか、単価を上げるのか、受注率を改善するのか、あるいは別の商材を加えるのか。打ち手を考えるスタート地点に立てたということだからです。
ステップ3:既存顧客と新規開拓のバランスを決める
目標の数字が見えたら、それをどこから積み上げるかを決めます。大きく分けると、既存顧客からの売上と、新規顧客からの売上の2つです。
下期は実働日数が限られるため、新規開拓だけで数字をつくろうとすると、どうしても間に合わないリスクがあります。一方で、既存顧客への追加提案は、すでに信頼関係があるぶん、商談期間が短く成約率も高い傾向があります。
- 既存顧客:追加提案・アップセル・別部署への横展開・契約更新の前倒し
- 休眠顧客:過去に失注・取引が止まった相手への再アプローチ
- 新規顧客:新しいリストへのアプローチ、紹介、問い合わせ対応
おすすめは、下期の前半で既存・休眠から確実に積める数字を押さえ、その安心感を持って新規開拓に時間を使うという順番です。新規は成果が出るまでに時間がかかりますから、早めに種をまきつつ、足元の数字は既存で固めるという考え方です。
ステップ4:足りない分は「取扱商材の追加」で埋める
ここまで計算していくと、「既存の商材だけでは、どうしても目標に届かない」という結論になることがあります。単価も受注率もすぐには大きく変えられませんし、人員をいきなり増やすのも簡単ではありません。
そんなときに検討したいのが、取り扱う商材そのものを増やすという選択肢です。すでに営業の仕組みと顧客リストがある会社にとって、これは実はもっとも即効性のある打ち手のひとつです。
なぜなら、新しい商材を1つ増やすだけで、次のような効果が同時に得られるからです。
- 既存顧客に再訪問する理由ができる:「新しいご提案があります」と会いに行ける
- 失注先にもう一度アプローチできる:前回合わなかった相手にも別の切り口で提案できる
- 提案の幅が広がり単価が上がる:組み合わせ提案で1社あたりの売上が増える
- 収益の波を平準化できる:季節性の異なる商材を持つことで、閑散期を埋められる
特に、月額課金型のようなストック型商材を1つ持っておくと、翌期以降の売上のベースができます。下期の数字づくりだけでなく、来期のスタートを楽にする投資にもなるわけです。
代理店として他社の商材を扱う形であれば、自社で商品を開発する必要はありません。営業力という既存の資産を活かしながら、新しい収益源を短期間で立ち上げられるのが大きな利点です。研修や販促ツールが用意されている商材も多く、思っているより早く提案を始められるケースもあります。
ステップ5:月次で計画を回す仕組みをつくる
計画は、立てた時点では単なる紙です。実際に成果につながるかどうかは、それをどう運用するかにかかっています。
おすすめは、月次で「計画と実績のズレ」を確認する場をつくることです。確認するのは売上の結果だけではありません。結果の前段にある活動量の数字こそ、早めにチェックすべき指標です。
- 今月のアプローチ数は計画通りか
- 商談数は積み上がっているか
- 来月・再来月に受注できそうな案件は足りているか
- ズレが出ている場合、原因はどこか
売上の未達は、たいてい2〜3ヶ月前の活動量不足が原因です。売上だけを見ていると、気づいたときには手遅れになります。逆に、活動量を毎月見ていれば、まだ挽回できるタイミングで軌道修正ができます。
そして、ズレが見つかったときは、計画そのものを修正することも大切です。計画は守るためのものではなく、現実に合わせて更新していくためのものだと考えると、運用がぐっと楽になります。
下期の営業計画でありがちな3つの失敗
最後に、下期の計画づくりでよく見かける失敗を挙げておきます。心当たりがないか、確認してみてください。
1つ目は、目標が金額だけで止まっていること。「下期は3,000万円」とだけ決めて、そのための行動量が決まっていないパターンです。これでは、月末になるまで達成できるかどうかがわかりません。
2つ目は、上期と同じやり方を続けてしまうこと。上期に届かなかったということは、今のやり方に何かしらの限界があったということです。同じ商材・同じターゲット・同じ進め方のまま気合いだけを足しても、結果は大きく変わりにくいものです。
3つ目は、打ち手の検討開始が遅いこと。新しい商材を扱うにしても、パートナー探しから契約、研修、初回提案までには一定の時間がかかります。「12月になって焦って探し始める」のでは、下期の数字には間に合いません。動くなら、下期が始まる前後の今が最適なタイミングです。
まとめ:下期の差は「9月に何を決めたか」で決まる
下期の営業計画づくりを、あらためて整理します。
- 上期を数字で振り返り、どこが詰まっていたのかを特定する
- 目標を活動量まで逆算し、実行可能かどうかを検証する
- 既存・休眠・新規のバランスを決め、確実な数字から押さえる
- 足りない分は取扱商材の追加で埋めることを検討する
- 月次で活動量をチェックし、挽回できるうちに軌道修正する
下期に結果を出す会社と、そうでない会社の差は、期の途中の頑張りよりも、スタート前に何を決めたかで大きく開きます。数字を分解し、足りない部分に対して具体的な打ち手を用意しておく。それだけで、下期の見え方はずいぶん変わってくるはずです。
もし「営業の仕組みはあるのに、提案できる商材が足りない」と感じているのであれば、新しい取扱商材を探してみることをおすすめします。すでにお持ちの顧客リストと営業力を活かせる商材が見つかれば、下期の数字づくりは一気に現実的になります。
